■茅ヶ崎・3世代の家 1999.05

計画地 :神奈川県茅ヶ崎市 路地を奥深く入り込むと、程良く街の喧噪から隔離された中に、樹齢ン十年もの松の木が何本も高くそびえ立つ印象的な敷地。茅ヶ崎の街の象徴、そしてこの場所の先住民としての松の木と、新たに建てられるこの住まいが共存し、松を囲うように、また松の木に囲まれるようにそっと置かれた小さな家々をめぐって、親、子、孫にわたる3世代の家族が周囲の人、そして自然と関わりながらゆったりと長く過ごせるような住まい。あちらこちらに高くそびえ立つ松の木が、海からの風にゆらぎながら光と影の縞模様を降り注ぎ、足下で暮らす家族の視線を松の高みに、そしてその向こうの青い空へと導いてゆく。そんな住まいを目指してこの家は計画された。2世帯住宅で適度に距離を保ちながらも、お互いにコミュニケーションを図っていくためのひとつの処方として、建物を敢えて親・子・孫の3世代に対応する小さな3棟にスケールダウンしながら解体(セパレーション)したうえで再度、通風、採光、眺望、プライバシーを確保するための適度な空隙を介してレイアウトする。3棟に分割されたことで、内部と外部が複雑に絡み合い、多様なシークエンスが生まれると同時に、3棟の形状、素材に一定の秩序を与えてやることで、小さな家々からなる集落的な様相を呈し始める。3棟の間には中庭、土間、ルーフテラスなどのあいまいかつ多目的な空間を配することで、親・子・孫の3世代に一旦は分割された家族が、時と場合に応じて適当な集団へと再度結びつき(グルーピング)、湘南の心地よい気候の中で外部とふれあう生活を存分に楽しめる場としている。それぞれの棟は基本的に1室空間として家具やカーテンなどでゆるやかに間仕切られているだけなので、家族のライフステージの変化にともない簡単に室の用途変更へも対応できる可変性を備えている。
用 途 :住宅
主要構造:木造在来工法
敷地面積:
延べ面積:

1FPLAN

2FPLAN

PERSPECTIVE