■空の家/極小二世帯 2008.01

計画地 :横浜市西区 横浜中心部を望める高台の小さな敷地。2階建て住宅が近接しているけれど、3階の高さからは素晴らしい夜景が期待できる場所。敷地は小さいながらも車を持たないため、玄関のみ共有の2世帯住宅とすることができた。ローコスト及び短期間での完成(税法上)が望まれたため、構造計算適合判定を受けない軒高さ9m以下の3階建て木造在来工法として、敷地はのほぼ全てを使いきった総3階建て住宅としている(道路斜線制限は天空率の適用にて緩和)。間取りは中央に階段を配することで、面積効率を高めるとともに、外壁に受ける風圧力に抗する壁を確保している。周囲の状況に呼応するように、上階に行くほど開放性の高い空間となるような構成としていて、それは眺望のみでなく、構造的にも、防犯性の面でも理にかなった構造と言える。面積的に通常のバルコニーを設ける余裕がない代わり、屋上は広くテラスとして開放していて、天井の高い3階居間(子世帯)の上部には一部ロフトを設けている。外観は建物の高さを強調し、地面から空に向かって溶けていくようなイメージとするため、上層ほどよりフラットなテクスチャで薄い色となっていくような左官仕上げとし、開口部も上層になるほど大きくなり、反射性を高めたガラスを使用する。また、階ごとに水平線のボーダーと開口部でランダムに枠どられた外壁は近隣の寺社の石畳や瓦、石塀の佇まいを意識したものでもある。
用 途 :2世帯住宅
主要構造:木造在来工法
敷地面積:46.97m2
延べ面積:94.67m2

PLAN